2016年8月31日水曜日

奥手な腐葉土


 8月も終わりの日。
 夏休みのしおりを確認して、慌ててやり残した宿題に気付いた思い出がよみがえります。

 1月に行われた市民向け講習会にて作成した腐葉土とぼかし肥。
 ぼかし肥はすでに発酵が完了し、芳醇な香りを漂わせていたため、すでに土へのすき込みをおこないました。

 一方の腐葉土ですが…。

 早熟でおませな腐葉土になってほしかったのですが、まだ表面にはカサカサの落ち葉が少し残る奥手な腐葉土。
 すでに何度か手を入れていますが、発酵の進みが遅いようです。

 乾いてしまうと発酵が起こらないので、スコップを使って天地返しをおこない、発酵の遅い上部の葉を底の方へすき込みます。


 葉がまだ残っているので、スコップがなかなか刺さってくれません。

 余談ですが、スコップとシャベルの呼び名が東日本と西日本では逆だとか。

 ちなみに私は大学に来るまでこちらをシャベルと呼んでいました。
 うーん、こんなところにも地域差があるんですね。


深くまで掘ってみると…


 下に行くにつれて、良い感じに発行している模様。


 ようやく底の部分まで掘り、作成時に加えた白い米ぬかが顔を覗かせ

 臭っ。

 おぉぉ、これは強烈…。
 まだまだ元気に発酵中のようです。
 顔をしかめつつも、なんとか作業を進めます。


 無事に作業完了。
 乾いていた分、水を加えて発酵を促してから再度シートをかけて元に戻します。


 今度は大人の魅力溢れる腐葉土さんに成長していることを願って。

(安藤 匡哉)

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2016年8月30日火曜日

シクラメンの葉を分ける

今年は台風が東日本から北日本にかけて、頻繁にやってきます。
例年と違う気候を感じながら、花の生産は続いています。




シクラメン。
昨年、11月末に播種をし、その後、このブログでもご紹介してきましたように、いろいろな作業を経て、今、こんなことになっています。

アルミのリングを重しに、無理矢理に葉柄を下に広げられて、なんだか気の毒な姿。
いじめているわけではありません。
いや、むしろ、愛情を注ぎ込む作業です!!

葉分けと呼ばれる塊茎の頂部に日光を十分に当てて、葉数や芽数をできるだけ多く確保するための作業です。
先日も同様の作業をしたことをご紹介しましたが、葉分けは繰り返し、何度か繰り返していきます。

約1年の栽培期間の間に、こうした葉分け、あるいは葉組みといった作業を繰り返して、十分な葉数と花数のあるしっかりした株を育成していきます。


12月には花がたっぷり着いたシクラメンの鉢ものが出荷できるはずです。
立派なシクラメンの鉢ものは結構なお値段がするものですが、生産者の皆さんのもとでは、こうした作業を経て、手間暇かけて生産を行っています。
少しお高くても長く花を楽しんでいただける株を作るために、日々作業は続いていきます。

(金谷)


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2016年8月29日月曜日

出張花壇整備 ~ 福島県立医科大学会津医療センター花壇のその後の生育 ~

先週は秋田 大阪 会津と出張が続きました。
826日には福島県立医科大学会津医療センター(会津若松市)で会議があり、718日に研究室の学生さんと医療センター玄関前の花壇整備を行なったペチュニア‘さくらさくら’の生育の様子も見てきました。

718日に行なった花壇整備のブログは下記をご参照下さい。

植え付け後から医療センターの職員の皆さんによって、灌水や除草などの献身的な管理が行なわれていたようで、花壇は見事に花で覆われていました。会津地方は定植後の7月から8月上旬にかけて、雨がまったく降らなかったそうで、休日も出勤して灌水して下さったようです。また、花壇に来場者のために解説のプレートまで立ててありました。

会津医療センターの入り口前を飾るペチュニア‘さくらさくら’


満開のペチュニア‘さくらさくら’


植物の解説プレート


ちなみに718日の植え付け時の花壇は下の画像のような状態でした。苗を株間を40㎝~50 にして定植しましたので、花壇の土が見えていますね。


それにしても、およそ1ヶ月ちょっとで花壇を花で覆いつくす‘さくらさくら’の生育には圧倒されます。私たちのミッションの一つでもありますが、‘今まで花が使われていなかった場所に花を植える’ことで、さらに多くの方に花の良さを知って頂くことができたようです。会津医療センターを訪れる方々にも喜んで頂いているようで、センター長から感謝状を頂戴しました。

‘人があっての花(植物)’ですから、それをだれに、どのように、どうやって伝えるのかがとても大切なことですね。私たちの身の回りには、まだまだ‘花(植物)’が足りていませんね。


  (渡辺 均)

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2016年8月26日金曜日

クコのポット上げ

こんにちは。
今日の共同作業はクコのポット上げです!
クコを漢字で書くとは枸杞、学名はLycium chineseです。中国原産のナス科の落葉低木で、ドライフルーツとしてよく利用されています。

今日はクコの苗をポットに移植する作業をしました。


こちらは移植する前の苗です!元気ですね。


苗の根を傷つけないように、手で丁寧に土を落とします。



こちらは土から出した苗です。発根の良い苗ですね!


出芽していない調子の良くない苗もいくつありました。残念ですが廃棄です。


次はポット上げです。苗を3号ポットに移植してします。


終わった様子です!


最後はもちろんたっぷり水をあげました。元気に育つのが楽しみですね。


学部4年 趙小

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2016年8月25日木曜日

夢チャレンジ

毎年8月に千葉県教育委員会が実施している
『夢チャレンジ体験スクール』
その一部を苗生産部も担当しています。

夢チャレンジ体験スクールとは、
県内の多様な企業や大学、研究機関等と連携を図り、児童・生徒が、先端的な科学・技術体験や様々な就業体験を行う機会を得るとともに、研究者や職業人との交流を通して、職業に必要な資質や能力等について学び、将来の職業に対する夢をはぐくむことを目的としています。
(千葉県教育委員会HPより)

科学講座や技術体験、就業体験などいくつかのコースがあり、
夏休み中の多くの小・中・高の生徒が参加します。

千葉大学が入っているコースには、
1~3年の中学生8名が技術体験を目的にやって来ました。
苗生産部の滞在は一時間半。
短い時間の中で施設の見学と、ケイトウの播種、
ニチニチソウの整枝を体験してもらいました。

ほぼ知り合いはいない状況で、3日間の日程。
しかも初っ端ともあり、みんなかなり硬い表情・・・
こちらにも緊張が伝わってくるほどでしたが、

ケイトウ種子の小ささに苦戦したり、














ニチニチソウの切る節を迷ったり、















実習を進めるにつれ少しずつ打ち解けた様子が見られました。










あっという間の見学・実習でしたが、
来た時よりも、ちょっとでも興味が拡がっていれば良いなぁ~と思いながらお見送り。
















普段対応しているのは、園芸の大学生や大人の見学者がほとんどで
さほど気にしていませんでしたが、
今回は園芸用語をあまり知らない中学生。
言葉選びにはとても気を遣いました。
光合成という単語一つとっても、
既に学んでいる生徒と全くピンとこない生徒がいます。
なるべく分かりやすい単語に言い換え、
スムーズに進められるような説明順を考え、
私自身も大変勉強になりました。





(池田)

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2016年8月24日水曜日

見た目と中身

 台風が順番待ちをしているかのように、過ぎ去ったと思ったら次の台風の出番が訪れる季節となりました。

 お出かけの際には足元だけでなく、折れた木の枝などにもお気をつけください。

 さて、昨日の記事にもありますように、ここ苗生産では観賞用の花卉類だけでなく、皆さんの健康に関わる機能性植物(薬用植物)も取り扱っています。

 何度かブログにて紹介させていただいた私の研究植物である「ダンギク」もまた、そのような機能性植物の一種です。



 これまでに、国内における自生地の長崎県および鹿児島県においてフィールドワークを行い、それぞれの地域から109の地点にてダンギクの自生を確認しました。


 主に陽当たりの良い岩場に自生個体の多いダンギクですが、その自生環境も山の中にぽっかりと開いた岩場であったり、海岸沿いの潮風が吹きすさぶ岩場であったりと様々です。

 これら各地点から採取した種子を、自生環境の影響を除いた同じハウス内において栽培したところ、多様な草姿や花色の濃淡がみられました。



 これらの違いは、様々な環境に適応して生き残ってきた結果だと考えられ、江戸時代から仏花や観賞植物として利用されてきたダンギクの育種素材としても活用できると考えられます。

 国内では西九州の一部でしか自生が確認されておりませんが、おとなり中国では各地に自生している様子が確認され、古くから月経不順やリウマチ痛などに対し薬効のある民間薬として用いられてきたそうです。

 これらの薬用成分に関して報告はあるのですが、それはあくまでも1つのサンプルを用いてのおはなし。


 多様な形態を示す、それぞれの地点におけるダンギクの個体間では、もしかすると薬用成分の構成や量に違いがあるかもしれません。

 大きな見た目の個体ではそのまま中身の薬用成分の量が多いのか、それとも厳しい環境で生き残ってきた個体の方が多いのか。


 ダンギクを観賞植物としてだけでなく、機能性植物としても利用していくために、見た目だけでなく「中身」にも注目して研究していきます。

(安藤 匡哉)


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2016年8月23日火曜日

ヘスペロジギスを生産中!!

台風が来たり、局所的に大雨になったり、天候が安定しませんね。

今日は、苗生産部で生産中の植物を1つご紹介します。

属名は、「ヘスペロジギス(Hesperozygis)」。
聞き慣れない名前の植物ですね。
こんな植物です。


シソ科(Lamiaceae)で、南米・中米が原産。
世界的に見てもまだ園芸品種として流通しているものは少ないのですが、
現在生産中の品種は‘ミンティア’という商品名のサントリーフラワーズさんの品種です。

この写真のように、美しい照り葉で、こんもりと自然にまとまる草姿の美しさが特徴。
さらに、葉に香りがあり、ミントのような爽やかに香ります。




寒さにも比較的強く、管理がよければ数年はご家庭で楽しんでいただける植物です。
10月の出荷に向けて、生産を続けていきます。

(金谷)


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2016年8月22日月曜日

ひらめき☆ときめきサイエンスを開催

先週の土曜日は、柏の葉キャンパスで高校生を対象としたプログラム「ひらめき☆ときめきサイエンス 野草から薬ができるまで~人々の健康を守る植物~」を開催しました。



これは、(独)日本学術振興会が大学で取り組まれている科研費(科学研究費)による研究を小学生、中学生、高校生に分かりやすく発信するプログラムです。昨年末に応募したものです。
詳細は下記をご参照下さい
https://www.jsps.go.jp/hirameki/

私たちが柏の葉診療所、柏の葉鍼灸院の先生方と取り組んでいる機能性植物(薬用植物)をそれぞれの専門分野の立場から「人の健康」をキーワードに講義や実習を行ないました。柏の葉キャンパスでしかできないプログラムですね。

外はあいにくの大雨。10時からの開講式の後、私から健康機能性植物の定義を解説しました。また、農学的・園芸学視点から、人々の健康を守るためには、薬用植物の生産を含めて農業生産がますます重要ことをお話しました。


その後、薬草園、高度化セル成型苗生産利用システム、ヨモギの栽培ハウスなどを見学しました。
薬草園の見学

ヨモギ栽培ハウス 安藤特任助教の解説

全員でお昼のお弁当を食べた後、午後からは、勝野先生の講義「漢方医学と漢方薬入門」、角野先生の実習「漢方煎じ薬の調合」、松本先生の「鍼灸学入門」、実習「鍼灸治療の実際(ツボと灸)」を行ないました。

勝野先生の講義「漢方医学と漢方薬入門」
人と植物は共通祖先?なんていうお話もありました。

角野先生の実習「漢方煎じ薬の調合」 
解説の後、実際に生薬を調合して、葛根湯、黄連解毒湯、小青竜湯を受講者に調合し、煎じて貰いました。

松本先生の実習「鍼灸治療の実際(ツボと灸)」実際に灸をして、サーモグラフィーで指先の温度計り、お灸の効果を検証しました。結果は・・・。

その後、診療所や薬局、鍼灸院を見学し、実際の治療現場の様子や治療方法について学びました。

最後にセンター長からの挨拶と受講記念として、未来博士号の修了証書を一人ずつお渡ししました。

受講生たちは、私たちの様々な取り組みにとても関心を持たれたようでした。数年後、今度は学生さんとして、千葉大のキャンパス内でお会い出来たら良いですね。受講生の皆さん、お手伝い下さいましたスタッフの皆さん、お疲れ様でした。


  (渡辺 均)

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